今年初めことば集43でシングルユースリアクターについて書きましたが、最近販売量が増えてきて、重要なアイテムになってきましたので再度考察しておきたく思います。

2001年にお客様から、聞いたこともない商品「WAVE Bioreactor」の輸入を依頼されたのが販売のきっかけです。当社はリアクターメーカーですから競合品です。当社製リアクターはガラスやステンレス等の剛体で作られ、再利用しますが、輸入品はプラスチックシートを袋状に成形してあり、使い捨てです。これが当社製品に取って代わるなら当社は事業を大幅に転換する必要があります。事業は技術開発や新製品登場によって終焉を迎えることがあるという危うさを感じました。
幸いシングルユースリアクターは当社が得意とする10L以下の研究用リアクターより大きいスケールに主な用途があったので、当社が不得手だった大型リアクターを補完するラッキーアイテムになりました。このようなリアクターの発想を自ら出せなかった事を悔しく思ったとともに、固定観念にとらわれてはいけない、開発を怠ってはいけないと思いました。
培養装置は一度納入すると、追加の導入がない限り、10年以上買い換えがなく、装置が飽和したらどうしようと、常に事業の継続に不安がありましたが、リアクターがシングルユースすなわちディスポであれば、取引が継続します。お客様が当社に輸入を依頼してくださった事はラッキーで、おかげ国内では先行できました。感謝の限りです。
当社としては販売だけでなく、メンテナンス、海外品であるが為に行き届かない周辺技術の支援、医薬品製造に欠かせないGMP支援等で役割を果たしてはいますが、装置の改良、周辺装置の開発等の努力は不十分で、一方代理店業務の危うさにさらされており、これはまた次回に考察したく思います。