バンティング - コーヒーブレイク - 【ニーズを形にする】開発型ベンチャー企業 エイブル株式会社 株式会社バイオット

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第63回 バンティング

バンティング (1891~1941)

糖尿病は血液中の糖が増加し、尿中に排出されておこる病気である。現在は膵臓から分泌されているインスリンの不足が原因だと知られているが、今から百年前には原因すら判らない不治の病であった、糖尿病が膵臓と関係があるということは1989年にすでにリトアニアの医師ミンコフスキーの研究で判っていた。膵臓は消化液を分泌する臓器で大部分は消化液を生産する細胞からなっている。だがそれらの間には別の種類の細胞の固まりが存在していた。これは発見者の名から「ランゲルハンス島」と呼ばれているが、その後の研究で糖尿病患者の膵臓を調べたところ、そこに異常が見いだされた。そこで、ここから分泌されるホルモンが抽出できれば糖尿病の治療に有効だと考えられたが、このホルモン「インスリン」の抽出はなかなか成功しなかった。バンティングは膵臓をそのまますり潰して抽出するのではなく、消化液を分泌する細胞をだめにしてから抽出する方法を考え、1921年、インスリンの抽出に成功した。
 翌年、重傷の患者にインスリンが投与されて成功を見て以来、何百万人もの患者が正常な生活を送られるようになった。これを機にホルモンのアミノ酸構造やDNAの配列を決める研究が始まった。これは「分子生物学」と呼ばれ、これが遺伝子工学の基礎となった。バンティングによるインスリンの発見が現在の遺伝子治療の扉を開くきっかけを作っていたのである。

 

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