| 平成16年 8月石川 陽一
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| 瀬木課長の発案で失敗事例集を作ることになり、早速社員から失敗例報告書を提出してもらい失敗事例集第一巻ができました。私たちは普段の生活の中で飲み過ぎて失敗したり、製品にクレームをつけられたり、不注意な言動を注意されたり、勇気のなさを反省したり等の失敗例がありますがその受け止め方はその人の感性、経験、能力、素直さ、やさしさ等により異なります。自分の落ち度や弱みを指摘されると反発する人や、失敗しても適当にお茶を濁してしまう人がいる反面、真摯に受け止めてその根本原因を探して改善・改良する人もいます。前者は何度でも同じ間違いを繰り返します。交通事故を起こす人はまた起こす確率が高いというデータがあります。交通事故を起こしてその時は反省するのですが、根本にある不注意、危機意識や予知能力の欠如、路上での危険な競争心等の心や人柄の問題はなかなか直らず、また事故を起こすのです。三菱扶桑トラックが欠陥隠しで、故障に対し場当たり的処置をし、根本原因を解消しなかったために何人もの人命を亡くす大事故を引き起こし、会社が存亡の危機に立たされています。失敗やクレームは会社や個人の損害を伴って得られた貴重な財産です。この財産を共有し、他人の失敗も自分のことと受け止めて失敗を繰り返さないようにするためにこの失敗事例集を活用したいと思います。 失敗事例集第一巻では確認を怠ったためや、思い込みで行動したために生じた失敗が多く書かれていました。書いた人たちは反省しているので今後同じ間違いを起こすことは少ないでしょう。しかし失敗を受け流してしまう人たちは同じ間違いを繰り返す可能性があります。当社でこんな事例があります。朝礼では楕円形状に集まるので、遠い人は8m位離れます。司会者が中ほどにいるので発表する人はつい司会者に向かって話をしてしまいます。それでは一番遠い人は聞こえないので、一番遠い人に向かって話すように注意しましたが、その時は大きな声を出しても次はまた小さな声になります。注意されているのを知っていながら次の発表者がまた小さな声で話します。何度言えば分かるんだと私は100回くらい怒りましたが、まだ時々注意しないといけません。朝礼は情報を共有するために行っているのであり、司会者だけに向かって話すなら朝礼で話す必要はありません。なぜ分からないのだろう、どうすれば分かるのだろうと考えました。注意されても“ハイ”で終わってしまうのでその時は分かってもまた忘れてしまうのです。それを自ら“朝礼には自分が(それは会社そのものですが)何をしているのかを知ってもらい、修正点があれば指摘してもらい、かつ全員に会社の状況を理解してもらうために行っているので、今後発表する時は全員に聞こえるように一番遠い人に向かって話します。ご注意有難うございました”と反省を述べたり、反省文を書けばもう大丈夫でしょう。注意されても“ハイ”で受け流していたので、怒られたことが身にしみていないのです。自分の成長の糧にするために今後も失敗事例報告書を提出し、反省と再発防止をしていただきたいのです。 失敗には大変恐ろしい事態が待ち受けていることがあります。失敗しても失敗した人はそのとき怒られればすみ、給料ももらえますが、会社は信用を失い、大事なお客様を失う可能性があります。信用を築くには長い年月と努力を要しますが、失うのは一瞬です。これが時には会社の衰退の原因やきっかけになるのです。一方失敗やクレームを真摯に受け止めお客様にきっちり対応すれば信用を勝ち取る機会にもなります。当社の技術力不足が原因でクレームが発生し、一生懸命対応していたらそれを見ていたお客様の他の部署からメンテナンスがしっかりしていると評価され、大量のご注文をいただいたことがありました。失敗にはその事態だけで終わらない恐ろしさや可能性があるのです。 私は傘や鉛筆をよくなくしました。母親はそのたびにガミガミと怒りました。怒られるのがいやで、なくさないように注意するのですがそれでもなくします。結婚してよかったことは傘をなくしても怒られないことでした。傘だけでなく荷物が二つあるとひとつ忘れ、一つだとそれを忘れます。意識が他へ移るとその瞬間荷物は忘れてしまうのはいまだに直りません。皆さんに忘れっぽいと言われるのは持って生まれた性分かもしれません。それで身に着けたのが自分の通り道に物を置くか、体の一部につけておく習慣です。通り道に置けば移動するとき必ずその場を通るので目に付くか、移動の邪魔になるので置き忘れることがありません。また荷物は一まとめにして置きます。そうすると一つ忘れることはありません。失敗を減らすには下記の方法が有効です。 1.失敗を真摯に受け止める: 失敗事例集、始末書等を書くのは有効な手段です。失敗内容、原因、失敗によってもたらされること、対処法等を書くことによって再発を防止できます。 2.上司や周りの人がガミガミ怒る: 怒られてなにくそと思ったり、もう怒られるのはこりごりだと思ったらしめたものです。何か対策を立てるでしょう。上述の傘忘れ防止の例です。 3.ミスの少ないシステムに変える: ISOの精神でもあります。 4.報連相を増やす: これによって勘違い、理解の違いを避けることができます。他人に自分の状況も理解してもらえます。当社の殆どの社員はこれが不足しています。 5.自分の能力の認識とその向上: 能力不足に起因する失敗もあります。能力の範囲を超えるときは他人の助けを求めるのも有効です。 6.もう一度確認する。できれば他人に確認してもらう: 自分で確認するとどうしても先入観で確認漏れが出ます。 7.ペナルティーを科す: 失敗は損失を伴います。自分もペナルティーを負って、責任を自覚するくらいの覚悟をすれば失敗は減ります。今後朝礼で声が小さいと注意された人はその度に1000円払ってください。注意してもらったお礼です。 8.原因を突き止める: 失敗やクレームは現象だけを捉えて対処するのではなく、原因を見つけて根本から対処しないと、解決にはなりません。原因が分かれば応用も利きます。 9.言い訳をしたり他人のせいにしない: 時間がなかったとかお客様が正確に連絡してくれなかった等言い訳はいくらでもできます。こんな人は成長しないし、失敗を繰り返します。 失敗事例集には失敗によってもたらされる事態やその事態を防ぐ対策にもふれて、自分だけでなく他人の教育にも供していただきたいと思います。ボーナスをもらって飲んでいるうちに気が大きくなって一日で全部使ってしまったり、朝、名古屋へ行くはずが朝まで飲んで始発の新幹線に乗ったまではいいのですが目が覚めたら姫路だったという豪傑がいましたが、仕事以外の失敗事例も報告していただきたいと思います。失敗をカバーするのは仕事への情熱、お客様や他人への気遣い、人を敬う心、感謝の気持ちだと思います。また一番恐ろしいのは失敗に気がついていないこと、聞く耳を持たないので誰も注意してくれないことです。自分への警鐘です。 |